真っ白い雪の中に降り立ったあなたは以前と変わらぬまぶしい笑顔で。
 少しだけ背が伸びたのかしら、と思いながら駆け寄って、けれどやはり自分の頭のほうが上にあり、少しだけ苦笑して膝を曲げ抱きつく。

「熱斗!」

「プライド、良かった無事だったんだ」

 懐かしい声。
 それでも、一度も忘れた日は無かった声。
 変声期はまだ来ていないのか、低くなった様子も見られない。背と同様にまだまだこれからなのだろう。
 心配してここまで来てくれたのだということに感激し、胸がいっぱいになる。
 後ろにはライカがいることも忘れて、ぎゅうときつく抱きしめる腕に力を込めた。
 まるで、ピンチに助けに来てくれる王子様のよう。初めて会ったときも、国の危機に駆けつけてくれたときも・・・そして、いまも。
 嬉しくてくらりと眩暈がしそうなほどだ。

「モロゾフが道案内してくれたんだ。ライカも無事で本当に良かった」

 まぁ、ライカのことだから平気だと思ってたけどさ。
 にっこりと笑いながら、乗ってきた車の扉を開けて言い足す。ライカの強さはプライドも十分にわかっていたので「そうね」と笑いながら答えた。

「とにかく、ライカの怪我の治療もしなくちゃだし、プライドだって疲れただろ? みんなのところに早く帰ろうか!」

 帰ればきっとすぐに国に戻らなければならなくなる。それは少し残念なことだったけれど、確かにライカの怪我も心配だったので、プライドは頷くと差し出された手を握り、少しだけ高いステップを軽い身のこなしでのぼった。

***

 せめて、基地へ戻るまでは・・・と思っていたのに。
 ナビに車を任せると、うとうと目を閉じてしまった熱斗である。覗き込めば小さな寝息が聞こえてきて、眠ってしまったのを無理に起こすのもなんだか忍びない。

「ごめんなさい、熱斗くん最近事件続きで寝不足で・・・」

「え? ええ、いいのよロックマン。ただ、お話が出来ればよかったのにと思っただけ」

「・・・ごめんなさい」

「謝ることじゃないのよ」

 ロックマンにそう告げると、彼もあまり謝ってはプライドが困ることを悟ったのだろう。にこりと笑って運転へと意識を戻していく。
 そんなふとした笑顔が熱斗のみせる表情に似ている気がして、プライドは頬を赤くした。それを誰にも見られてはならないと、両手で押さえながら視線を逸らす。
 振り向いた先には丁度、すやすやと眠る熱斗の横顔があった。
 ・・・言われてみれば、うっすらと眼の下に隈が出来ているのがわかる。
 こんなに疲れてても駆けつけてくれたのだと、嬉しくなり、同時に胸が痛くもなった。

「プリンセス・プライド?」

 そんなため息が聞こえたのだろうか。奥に座っていたライカが身を乗り出して問いかけるように名前を読んだ。

「いいえ、なんでもないわ」

 答えながらも、すでに傍まで来ていたライカに誤魔化しは通じなかったようで、見下ろしていた熱斗の寝顔を彼も覗き込み。

「いつも滅茶苦茶に、無茶ばかりするやつです」

 そう、呟いた。
 あまりにぽつりと呟いたので一瞬自分に話しかけられたのかプライドにはわからず、聞き落としそうになったけれど。熱斗のことだとわかり、隣りに立つライカを見上げた。

「戦うために訓練された自分とは違う。本当ならば守られる一市民のはずだったのに、熱斗は・・・」

 戦う力を持っていたために、ただ庇護されるだけの子供にはなれなかった。
 まだまだ未熟で、経験も無くて、でも傷つきながらも誰かを守るために戦っていたのだ。
 その話を聞いてプライドも頷く。
 そんなところも大好きなのだけれど。

「あまり無茶をされると、心配にもなりますわね」

「そうですね。こいつは本当にいつも・・・」

 同意するライカも同じ気持ちらしくて、まるで同志を見つけた気分にプライドは嬉しくなって微笑んだ。
 あらでも、と続ける。

「ならば無茶をするのは、ネットセイバーの性なのかもしれませんわね?」

「!!」

 ばっと振り返ったライカの顔がすぐわかるほどに真っ赤で、プライドはくすくすと声をあげて笑ってみせた。


end.









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コメント▽
(日記のコメント再録↓)
ライ×プラ風味になりつつも心の中ではライ熱+プラ熱。ていうかライ+プラ→熱。
お仲間ひとりご案内です〜vv
けれど、熱斗くんと触れたときに紋章でてくると思ってたのでライカがきっかけでフェイントでした。
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なんだかアニメの感想代わりにssってパターンが多いですね。
ホイップの登場が楽しみだったのです。熱斗くんが普通に「プライド!」って呼んでてびっくり。そっかー本名わかったんだもんね。確かにいつまでも偽名で呼んでるわけにはいかないか;
貰ったバンダナ、また出てきて欲しかったんですけどさすがに古過ぎてネタにはされなかったようです。でもきっとまだ大切に持ってますよねv
ノーマルカプは全部好きなのですよvv


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