ぐらぐら、と大きな横揺れを感じたと思ったら、次の瞬間には縦にふわりと身体が浮かんだ。

「うわわわわーっ!!」

「ね、熱斗くん!?」

 危なく足元を踏み外すところだった熱斗は慌てて近くにあった手すりにしがみつく。
 思わず飛び出した悲鳴につられて、PETからはロックマンの焦った声が響いてきていた。
 ぐらぐらぐら・・・
 何分くらい揺れていただろうか。それほど長い時間ではなかったのだろうけれど、その揺れの大きさからまるで数分にも感じられる。
 やがて完全にあたりが静まり返り、ようやく熱斗は手すりを放してため息をついた。

「ふう、びっくりした〜」

「すごい大きな地震だったね」

 地震情報を調べながら、ロックマンは画面に何事も無かったらしい熱斗の無事な姿を確認してホッと胸をなでおろす。
 けれど情報から思った以上に大きかったらしい震度の数字を見て、再び顔をしかめた。

「家も心配だね。早めに帰ろうか」

 家にいるはずのはる香のことも心配だったし、何よりも気がかりなのは・・・

「ああーっ!昨日机の上に置いておいた・・・っ」

 熱斗もそれに気が付き、青ざめて悲鳴をあげる。
 そう、夕べ遅くまでかけて試行錯誤をくりかえし、ようやく完成間近まできたという物体が机の上に。

「自由工作の模型が、やばいーっ!」

 奇しくも夏休みはあとわずか。
 仕事のせいだなんて泣き言は吐いていられない。
 同じ仕事仲間の炎山なんて、人一倍に仕事をした上で宿題を忘れたことも寝坊したことも無いのだから。
 ・・・と、以前ロックマンにそんな小言を言われたことがあるけれど、炎山の場合はあまりに特殊なんじゃないだろうかと、そんなナビ並みに完璧な人間と比べられて泣きたくなることもあったり無かったり。
 山積みされていた宿題を泣き落としてロックマンにも手伝わせ、半徹夜であらかた片付けたのは夕べの話だ。
 そうして、不運にも今日また昼に事件が起こり、現場へと急行した2人を待ち受けていたのはタイミングの良すぎる地震。

「まだボンド乾いてないのに〜」

「だ、大丈夫だよ!熱斗くん・・・・・・・・・たぶん」

 あまり気休めにならないというか、むしろ追い討ちをかけるようなロックマンの言葉を聞きながら、風のように猛スピードで家への道を引き返していく。
 夏休みなのに事件なんて起こすなWWW!!
 そんな理不尽な怒りをとりあえず悪者にすべておしつけて、次にあったときは容赦なく瞬殺決定と心の中で位置づけた。
 その熱斗の怒りのとばっちりを受ける火男は、まだ身に降りかかる不幸を知りもしないが。

 何にしても、夏休みの宿題は計画的に消化しておこう、という教訓である。

「ついでに、壊れやすいものは高いところに置かないようにね」

「ああああ今更言うなよ、ロックマンーーーっ」

 ついでに災害にも、日ごろから気をつけておきましょう。
 というおはなし。




end.









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コメント▽

8月の、すごい地震があったときに書いた日記小話です。
短発ssですが、こんな感じで棚の上に不安定&壊れやすいものは置かないようにしましょう〜;; 本棚が恐ろしいです;; 崩れてたらまた片付けが・・・(涙)


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