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※これはGBA「ロックマンエグゼ6」のネタバレを含みます。 ゲーム未プレイの方はご注意ください。 *** 「熱斗くん、メールボックスのプログラムくんが困ってるよ」 メールボックスを、 開く。 閉じる。 また開く。 閉じる。 またまた開く・・・ こんな操作を繰り返す熱斗の様子を最初のうちこそ黙って見守っていたロックマンだったが、さすがにメールボックスを管理するプログラムに泣きが入ってきたところで、仕方が無く助け舟を出す。 そんなに何度中身を確認したって、新着のサインも出ていないのだから、外から見ても未読メッセージが無いことなんて一目瞭然だ。 「うっ・・・わ、わかってるさ。それくらい」 (わかってるんだったら、その行動はなんなのさ) 心の中ではしっかり突っ込みを入れながら、顔には優しい笑顔を浮かべて。弟思いな彼は泣きべそをかいているプログラムの頭を撫でたまま、画面の向こう側に声をかけた。 「そんなに気になるんだったら、返事を書けばいいのに」 繰り返される、その操作。 メールを開いて、読みながら、そして続けて手は返信の命令へと伸びそうになるのだが・・・結局はまた何もせずにメールは閉じられる。 返事を書こうと思っての行動だというのはわかるのだが、何故その手は直前で止まってしまうのだろうか。 「メイルちゃんたち、すごく心配してくれてるじゃない。なのに、熱斗くん一度も返事をしてないでしょ?」 もらったメールはどれも引っ越していった彼らを心配したり、不在を寂しがるメッセージで。 そんな温かい言葉に、何も返事をしないわけにもいかないだろうに・・・。 「だってさ、何て返事すればいいのか、わかんないよ」 「普段どおり、普通に書けば大丈夫だと思うけれど?」 珍しく頭を使って悩んでいるらしい熱斗の様子に、ロックマンは苦笑した。 つまりは、あんな感動的なお別れをしてきたばかりで、返事を出すのが照れくさいのだ。 「ロックマン〜・・・」 助けを求めるように情け無い声を上げてPETを覗き込む姿は、警備ロボットたちに囲まれてもひるむことなく立ち向かった人物と同一とは、とても思えない。 「だめだよ、熱斗くん。ボクが代筆するわけにもいかないんだからね」 けれどここは心を鬼に。 捨てられた子犬のような目で見られても、ロックマンはぷいと顔を背けたままで、先手を封じる言葉を放った。 だいたい、ラブレターならばいざ知らず。近況報告を代筆するなんていうのもなかなか聞いたことがない。 「・・・うぅぅ〜」 いや。メイルへの返事ならば、あながちラブレターの代筆と変わりないのだろうか。 無自覚にそういった感情での照れがはいって、こんなにも返事を書くことにためらっているのかもしれない・・・とそこまで深読みをして。 「なああ、ロックマンー・・・」 それは無いだろう。 残念なことながら、まだまだ子供の域を出ない熱斗の恋愛観に、知らずため息がこぼれた。 彼がメイルの抱いている強い想いを受け止められるのは、だいぶ先のことになりそうだ。 「確かに引っ越してから事件続きで、返事を出す暇もなかったっていうのもあったけど」 タイミングを逃してしまうと、とたんにメールというのは返事が書きにくくなるもの。 またその上・・・。 「学校で会えた頃はなぁ。簡単な用事だったら、直接話して伝えてたからさ」 「そういえば、そうだったね」 思い出して、まだ新しい学校よりも鮮やかに思い描く事が出来る秋原小の校舎に、つい懐かしさがこみ上げてきてしまう。 考えてみれば、もともと熱斗も筆まめなほうではなかったのだ。 用件をメールでもらっても、学校で直接返事をしてしまったり。または、すぐ近所だからと相手の家に立ち寄ったりと・・・。 思い出すと、そういえば秋原小学校の仲間たちにメールを運んだことなんて、あまり無かったかも知れない。 「・・・ねえ、熱斗くん」 「なぁ、ロックマン」 彼らのことを思い出していたせいか、余計に懐かしさは強くなって。 声をかけあったのは、ほぼ両者同時のこと。 「どうせなら、また返事は直接にしちゃえばいいんじゃない?」 「そ、そうだよなっ」 ここから懐かしの秋原町へは、電車に揺られて数時間の長旅となる距離だ。 けれど、せっかくならば味気ない数行のメールよりも。 「たくさんのお土産話を持って、みんなに会いに行こうね」 「びっくりするぜ、きっと!」 この顔をみせることが、一番の近況報告になるだろうから。 それまで、この書きかけのメールは大切にしまったままで。 END. --------------------------------------------- コメント▽ メールの返事はすぐに出そうよ、熱斗くん(笑) そんなわけで、秋原電脳の掲示板で発覚する恐ろしい事実。熱斗くんはみんなのメールにお返事を出していませんでした;; ね、熱斗くん〜;; そりゃあもう、心配しますよね。 事件のニュースは届くものの、音信不通ですよ。 下手をすれば秋原メンバーはセキュリティーぶち破って才葉まで乗り込んできます。 上のお話の一方その頃で、メイルちゃんとかは幼馴染だから熱斗の性格とか返事がこないこととか、大体予測がついてて、「きっと返事も当分来ないだろうから、そのうちいきなり電話して驚かしちゃおう」とか思ってるわけです。そしてTVにロックが映ったきっかけに、実行で。 そして届かない熱斗くん近況は、綾小路家の情報網でばっちりキャッチです。 内輪のメール速報で秋原メンバー全員に渡ります(笑) こんな妄想してみました。 熱+メイ風味に見えて、けれど実際は兄弟がじゃれあってるだけの話。(まるで2人きり新婚旅行のようだと、いま思いました・・・。<腐れ思考ですみません;) BACK |
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