3.

「はあ」

 カタリ、と机に手を休めて、電源の落ちた画面をゆっくりと眺める。
 真っ暗な画面がまるで闇に飲み込まれるような錯覚を起こし、余計に眉間の皺が増えた気がした。

「あいつはさ・・・」

 闇の力を纏ったもう一人のロックマンはあまりにも本物と同じで、偽者だとわかった今の方が知る前よりもますます恐ろしく思える。
 決定的に違うところ。
 闇に支配されている・・・いや、闇そのものであるということ。
 もう彼を見てもきっと間違いはしないだろう。
 けれど、熱斗はたぶんそれでもわかってしまうのだ。

「お前なんだよ、ロックマン」

 どんなに「本物」と違っていたとしても、あれもロックマンから分かたれた存在の一部であることに違いはない。
 あの口から自分の名前が呼ばれたとき、迷わずに戦うことができるのだろうか。
 自ら問いかけてみれば、その答えは否。
 きっと、迷わずにはいられないだろう。

「次に呼ばれたら、」

 いつかこたえてしまう自分がいるかも知れない。

 そんな予感がして、熱斗はこつりと不安を隠すように目の前のPETに指先をぶつけた。
 この中でいまは眠っているロックマンが、もう1人別のロックマンといずれ戦うことになる。そうなれば行き着く先はきっとどちらかの死という結末。

「・・・俺は見たくない」

 二度と、目の前で消える姿を見たくないのに。
 その引き金を引かせる覚悟を、自分はしておかなければならない。




 選び取る以外の道はないのか。
 答えを出せぬまま、パタと机に顔を伏せて静かに目を閉じた。




おわり。
-------------------------------------
黒様登場記念の突発小話。
まだ口調とか、どんな風に登場するのかとかも全くわからないままに書いたので、読み返すと恥ずかしさに逃げたい気分ですよ(笑)
黒熱はまだまだ書きたいエピソードがたくさんあるので、じっくりと増やしていきたいと思いますv


BACK